OSPF 設定ガイド

1. OSPFを有効にする

OSPFを使用するためには、グローバルコンフィグレーションモードで以下のコマンドを入力します。
入力するとOSPFルーティングプロセスが有効になり、OSPFの設定モード(OSPFモード)に遷移します。

OSPFv2の場合

Yamaha(config)# router ospf [PROCESS_ID]

OSPFv3の場合

Yamaha(config)# router ipv6 ospf [PROCESS_ID]

2. ルーターIDの指定

本製品のルーターIDを指定します。ルーターIDとはネットワーク内の各OSPFルーターを一意に識別するための識別番号であり、複数のルーター間で重複しないように指定する必要があります。

Yamaha(config-router)# router-id X.X.X.X

OSPFルーターIDの指定方法はいくつか用意されていますが、以下の優先順位で決定されます。

  1. OSPFモードで設定した router-id コマンドの設定値
    ただし、OSPFv2モードでは ospf router-id コマンドでも同様の設定が可能

  2. グローバルコンフィグレーションモードで入力した router-id コマンドの設定値

  3. VLANインターフェースに設定されている中で一番大きなIPアドレス

意図しないIPアドレスがルーターIDとして使用されることを防ぐため、明示的にルーターIDを指定することを推奨します。

3. OSPFを使用するインターフェースの選択

OSPFを使用するインターフェースを選択する場合には、OSPFモードで network コマンドを使用します。
192.168.100.0/24の範囲内のIPアドレスを保持するインターフェースをバックボーンエリアに所属させる場合は以下のようになります。

Yamaha(config-router)# network 192.168.100.0 0.0.0.255 area 0

network コマンドを用いることで、複数のインターフェースを1つのコマンド設定でOSPFエリアに所属させることができます。
ただし、後からインターフェースを追加した場合など意図せずOSPFが有効になる可能性があるので注意してください。

4. エリアのタイプを指定する

OSPFプロトコルで定義されたエリアのタイプを指定する場合には、 area コマンドを使用します。

  • 192.168.100.0/24の範囲内のIPアドレスを保持するインターフェースをエリア1(標準エリア)に所属させる

    Yamaha(config-router)# network 192.168.100.0 0.0.0.255 area 1
  • 192.168.100.0/24の範囲内のIPアドレスを保持するインターフェースをエリア1(スタブエリア)に所属させる

    Yamaha(config-router)# network 192.168.100.0 0.0.0.255 area 1
    Yamaha(config-router)# area 1 stub
  • 192.168.100.0/24の範囲内のIPアドレスを保持するインターフェースをエリア1(完全スタブエリア)に所属させる

    Yamaha(config-router)# network 192.168.100.0 0.0.0.255 area 1
    Yamaha(config-router)# area 1 stub no-summary
  • 192.168.100.0/24の範囲内のIPアドレスを保持するインターフェースをエリア1(NSSA)に所属させる

    Yamaha(config-router)# network 192.168.100.0 0.0.0.255 area 1
    Yamaha(config-router)# area 1 nssa
  • 192.168.100.0/24の範囲内のIPアドレスを保持するインターフェースをエリア1(完全NSSAエリア)に所属させる

    Yamaha(config-router)# network 192.168.100.0 0.0.0.255 area 1
    Yamaha(config-router)# area 1 nssa no-summary

エリアをスタブエリアとする場合には、エリア内の全てのOSPFルーターでスタブエリアの設定が必要です。
エリアをNSSAとする場合には、エリア内の全てのOSPFルーターでNSSAの設定が必要です。

5. 経路情報の広告・集約・フィルタリング

静的経路設定やRIPなどで扱われる外部経路情報をOSPFに取り込む場合やOSPFエリア内の経路情報のやりとりでは、広告の制限・経路情報の集約・経路情報のフィルタリングを行うことができます。下図は、ABR (Area Boarder Router)かつASBR (Autonomous System Boarder Router)として標準エリア・NSSA・スタブエリアに所属しているときの経路情報操作の概念図になります。経路情報の操作には、下線が引かれているコマンドを使用します。

image

5.1. OSPFエリア内経路情報に関する設定

エリアA.A.A.Aから通知され、OSPFエリア内経路情報として保持する192.168.1.0/24, 192.168.2.0/24, 192.168.200.0/24を192.168.0.0/16に集約して他のエリアに広告する。

Yamaha(config-router)# area A.A.A.A range 192.168.0.0/16

エリアA.A.A.Aから通知され、OSPFエリア内経路情報として保持する192.168.1.0/24, 192.168.2.0/24, 192.168.200.0/24の中で192.168.2.0/24だけ他のエリアには広告しない。

Yamaha(config-router)# area A.A.A.A range 192.168.2.0/24 not-advertise

エリアA.A.A.Aから通知され、OSPFエリア内経路情報として保持する192.168.1.0/24, 192.168.2.0/24, 192.168.200.0/24の中で192.168.2.0/24だけ他のエリアには広告しない。

Yamaha(config)# access-list 1 deny 192.168.2.0 0.0.0.255
Yamaha(config)# access-list 1 permit any
Yamaha(config)# router ospf
Yamaha(config-router)# area A.A.A.A filter-list access 1 in

192.168.2.0/24の経路情報をスタブエリアC.C.C.Cには広告しない。

Yamaha(config)# access-list 1 deny 192.168.2.0 0.0.0.255
Yamaha(config)# access-list 1 permit any
Yamaha(config)# router ospf
Yamaha(config-router)# area C.C.C.C filter-list access 1 out

OSPFエリア内経路情報として保持する192.168.1.0/24, 192.168.2.0/24, 192.168.200.0/24の中で192.168.2.0/24のみRIBに登録しない。

Yamaha(config)# access-list 1 deny 192.168.2.0 0.0.0.255
Yamaha(config)# access-list 1 permit any
Yamaha(config)# router ospf
Yamaha(config-router)# distribute-list 1 in

5.2. 外部経路情報に関する設定

RIPで学習した外部経路情報をOSPFエリアに広告する。

Yamaha(config-router)# redistribute rip

外部経路情報172.16.1.0/24, 172.16.2.0/24, 172.16.200.0/24を172.16.0.0/16に集約してOSPFエリアに広告する。

Yamaha(config-router)# summary-address 172.16.0.0/16

外部経路情報172.16.1.0/24, 172.16.2.0/24, 172.16.200.0/24の中で172.16.2.0/24だけOSPFエリアに広告しない。

Yamaha(config-router)# summary-address 172.16.2.0/24 not-advertise

RIPで学習した外部経路情報の中で203.0.113.0/24のみOSPFルーティングテーブルに取り込まない。

Yamaha(config)# access-list 1 deny 203.0.113.0 0.0.0.255
Yamaha(config)# access-list 1 permit any
Yamaha(config)# router ospf
Yamaha(config-router)# distribute-list 1 out rip

6. 仮想リンクを使用する

バックボーンエリアと標準エリア1で構成されたOSPFネットワークに標準エリア2を仮想リンクで接続する場合の例です。
SWX (1)のルーターIDを172.16.1.1、SWX (2)のルーターIDを172.16.2.1とします。
バックボーンエリアのネットワークを172.16.1.0/24、標準エリア1のネットワークを172.16.2.0/24、標準エリア2のネットワークを172.16.3.0/24とします。

image

SWX (1)での設定

Yamaha(config-router)# network 172.16.3.0 255.255.255.0 area 2
Yamaha(config-router)# area 1 virtual-link 172.16.2.1

SWX (2)での設定

Yamaha(config-router)# network 172.16.1.0 255.255.255.0 area 0
Yamaha(config-router)# network 172.16.2.0 255.255.255.0 area 1
Yamaha(config-router)# area 1 virtual-link 172.16.1.1

7. OSPF認証を利用する

OSPFではパケットの認証を行うことができます。
OSPF認証を用いることで意図しないルーターがOSPFネイバーとならないようにすることができます。
OSPF認証を利用する場合は、OSPF認証を有効にしているインターフェースを介してOSPFパケットをやりとりするすべての機器でも同様の認証設定が必要です。

簡易パスワード認証の設定
バックボーンエリア上のvlan1インターフェースで簡易パスワード認証 (認証鍵:yamaha)を使用する。

!
router ospf
 area 0 authentication
!
interface vlan1
 ip ospf authentication-key yamaha
!

MD5ダイジェスト認証の設定
バックボーンエリア上のvlan1インターフェースでMD5ダイジェスト認証 (認証鍵:1a2b3c4d5e6f7890)を使用する。

!
router ospf
 area 0 authentication message-digest
!
interface vlan1
 ip ospf message-digest-key 1 md5 1a2b3c4d5e6f7890
!

8. OSPFの状態を確認する

OSPFデータベースの情報を表示する。

Yamaha# show ip ospf database

OSPFが動作しているインターフェースの情報を表示する

Yamaha# show ip ospf interface

OSPFが動作しているVLAN1インターフェースの情報を表示する

Yamaha# show ip ospf interface vlan1

OSPFネイバーの情報を表示する。

Yamaha# show ip ospf neighbor

バーチャルリンクの情報を表示する。

Yamaha# show ip ospf virtual-links

OSPFプロセスが保持する経路情報を表示する。
1つの宛先に対して複数の経路が存在する場合は、メトリック値によって最適な経路が選択され、RIBに登録される。

Yamaha# show ip ospf route