DHCPサーバー

1. 機能概要

DHCPサーバー機能では、DHCPクライアントに対し、IPv4アドレスの割り当て(リース)を行います。
オプションによって、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーの情報等も通知できます。

2. 用語の定義

特になし

3. 機能詳細

DHCPサーバー機能の動作仕様について以下に示します。

  1. 本製品のDHCPサーバー機能は、システム全体の有効、無効制御に加え、インターフェースごとに有効、無効制御が行えます。
    インターフェースでDHCPサーバー機能を動作させる場合は、システム全体の設定が有効になっている必要があります。

    • システム全体の設定は、グローバルコンフィグレーションモードで dhcp-server コマンドを使用します。

    • インターフェースごとの設定は、該当のインターフェースモードで dhcp-server コマンドを使用します。

  2. DHCPサーバー機能の初期設定は、以下のようになっています。(初期状態では機能していません)

    • システム全体の設定 : 無効

    • インターフェースの設定 : 無効

  3. インターフェースへのDHCPサーバー機能の設定は、VLANインターフェース に対して行います。

    • dhcp-server コマンドで設定を行います。

    • VLANインタフェースには、IPv4アドレスが設定されている必要があります。

    • 初期設定は無効となっています。

    • DHCPサーバー機能でIPアドレスを割り当てるには、後述するDHCPプールが適切に設定されている必要があります。

    • 最大で32のVLANインターフェースに設定することができます。

  4. DHCPクライアントに配布する情報は、DHCPプールで決定されます。

    • dhcp pool コマンドで DHCPモード に移行し、DHCPプールの作成を行います。

    • 最大で64のDHCPプールを作成できます。

  5. DHCPプールには、以下の設定を行うことができます。

    • ネットワーク部の指定

    • クライアントに割り当てるIPアドレスの範囲

    • 特定のクライアントに割り当てるIPアドレス

    • リース時間

    • リースするIPアドレスの重複チェック

    • デフォルトゲートウェイアドレス

    • DNSサーバー

    • ドメイン名

    • ブートファイル名

    • ブートファイルが置かれているサーバー

    • ユーザー定義のDHCPオプション

      DHCPサーバーとして動的にアドレスを割り当てるとき、ネットワーク部と割り当てるIPアドレスの設定は必須となります。
      同じネットワーク部を持つプールを複数設定することはできません。

  6. 割り当てるIPアドレスには、DHCPプールに指定したネットワーク内のアドレスを指定します。
    DHCPプールのネットワーク部の指定は以下のように行います。

    • DHCPクライアントがDHCPサーバー機能を有効にするVLANインターフェースと同じネットワークに存在している場合は、VLANインターフェースに設定しているIPアドレスのネットワークを指定します。

    • DHCPリレーエージェント経由でDHCPクライアントからの要求を受け入れる場合は、クライアントの所属するネットワークを指定します。

  7. 特定のクライアントに割り当てるIPアドレスは、 bind host コマンドで設定できます。

    • bind host コマンドの最大設定数は、すべてのプールの bind host コマンドを合計して4096個です。

  8. DHCPサーバーの起動が完了したとき、以下のログがdebugレベルで出力されます。

    • 「DHCPv4 server started up using the new config」

  9. DHCPサーバーは Option 82 が付与されたパケットを受信したとき、remote-id、circuit-id、subscriber-id に基づいて、配布する IP アドレス等を設定できます。

    • dhcp class コマンドを用いて、クラスモードに移行し、上記各 id を設定できます。

      • 最大で16のDHCPクラスを作成できます。

    • dhcp pool class コマンドを用いて、プールの中に、上記コマンドで設定したクラスを適用できます。

      • 最大で16のDHCPクラスを作成できます。

      • Option 82の内容が、適用したクラスの id に一致した場合、DHCPプールクラス内の設定がDHCPサーバーで使用されます。

    • DHCPプールクラスには、以下の設定を行うことができます。

      • クライアントに割り当てるIPアドレスの範囲

      • リース時間

      • デフォルトゲートウェイアドレス

      • DNSサーバー

      • ドメイン名

    • DHCPスヌーピング機能が有効となる機器を通過したとき、Option 82 が付与されたパケットが作成されます。DHCPスヌーピングについて、下記リンクを参照願います。

  10. ユーザー定義のDHCPオプションには、以下を使用することができます。

    • option コマンドで、オプションを定義できます。

      オプション番号 オプション名 コマンドで使用可能なニーモニック オプションの型

      1

      Subnet Mask

      subnet_mask

      IPアドレス

      2

      Time Offset

      time_offset

      4オクテット整数

      3

      Router

      router

      IPアドレスの配列

      4

      Time Server

      time_server

      IPアドレスの配列

      5

      Name Server

      name_server

      IPアドレスの配列

      6

      Domain Name Server

      dns

      IPアドレスの配列

      7

      Log Server

      log_server

      IPアドレスの配列

      8

      Cookie Server

      cookie_server

      IPアドレスの配列

      9

      LPR Server

      lpr_server

      IPアドレスの配列

      10

      Impress Server

      impress_server

      IPアドレスの配列

      11

      Resource Location Server

      resource_location_server

      IPアドレスの配列

      12

      Host Name

      hostname

      文字列

      13

      Boot File Size

      boot_file_size

      2オクテット整数

      14

      Merit Dump File

      merit_dump_file

      文字列

      15

      Domain Name

      domain

      文字列

      16

      Swap Server

      swap_server

      IPアドレス

      17

      Root Path

      root_path

      文字列

      18

      Extensions Pathname

      extensions_pathname

      文字列

      19

      IP Forwarding

      ip_forwarding

      スイッチ

      20

      Non-Local Source Routing

      non_local_source_routing

      スイッチ

      21

      Policy Filter

      policy_filter

      IPアドレスの配列 ※IPアドレスとマスクの組からなる、偶数個のIPアドレスの設定が必要

      22

      Maximum Datagram Reassembly

      maximum_datagram_reassembly

      2オクテット整数

      23

      Default IP TTL

      default_ip_ttl

      1オクテット整数

      24

      Path MTU Aging Timeout

      path_mtu_aging_timeout

      4オクテット整数

      25

      Path MTU Plateau Table

      path_mtu_plateau_table

      2オクテット整数の配列

      26

      Interface MTU

      interface_mtu

      2オクテット整数

      27

      All Subnets are Local

      all_subnets_are_local

      スイッチ

      28

      Broadcast Address

      broadcast_address

      IPアドレス

      29

      Perform Mask Discovery

      perform_mask_discovery

      スイッチ

      30

      Mask Supplier

      mask_supplier

      スイッチ

      31

      Perform Router Discovery

      perform_router_discovery

      スイッチ

      32

      Router Solicitation Address

      router_solicitation_address

      IPアドレス

      33

      Static Route

      static_route

      IPアドレスの配列 ※宛先アドレスとルーターのアドレスの組からなる、偶数個のIPアドレスの設定が必要

      34

      Trailer Encapsulation

      trailer_encapsulation

      スイッチ

      35

      Arp Cache Timeout

      arp_cache_timeout

      4オクテット整数

      36

      Ethernet Encapsulation

      ethernet_encapsulation

      スイッチ

      37

      TCP Default TTL

      tcp_default_ttl

      1オクテット整数

      38

      TCP Keepalive Interval

      tcp_keepalive_interval

      4オクテット整数

      39

      TCP Keepalive Garabage

      tcp_keepalive_garbage

      スイッチ

      40

      NIS Domain

      nis_domain

      文字列

      41

      NIS Server

      nis_server

      IPアドレスの配列

      42

      NTP Server

      ntp_server

      IPアドレスの配列

      44

      WINS Server

      wins_server

      IPアドレスの配列

      45

      NBT-DD Server

      nbt_dd_server

      IPアドレスの配列

      46

      NBT Node Type

      nbt_node_type

      1オクテット整数

      47

      NBT Scope

      nbt_scope

      文字列

      48

      X Font Server

      x_font_server

      IPアドレスの配列

      49

      X Display Manager

      x_display_manager

      IPアドレスの配列

      62

      Netware/IP Domain Name

      netware_domain_name

      文字列

      64

      NIS+ Domain

      nis+_domain

      文字列

      65

      NIS+ Server

      nis+_server

      IPアドレスの配列

      66

      TFTP Server Name

      tftp_server_name

      文字列

      67

      Boot File Name

      boot_file_name

      文字列

      68

      Mobile IP Home Agent

      mobile_ip_home_agent

      IPアドレスの配列

      69

      SMTP Server

      smtp_server

      IPアドレスの配列

      70

      POP3 Server

      pop3_server

      IPアドレスの配列

      71

      NNTP Server

      nntp_server

      IPアドレスの配列

      72

      Default WWW Server

      default_www_server

      IPアドレスの配列

      73

      Default Finger Server

      default_finger_server

      IPアドレスの配列

      74

      Default IRC Server

      default_irc_server

      IPアドレスの配列

      75

      StreetTalk Server

      streettalk_server

      IPアドレスの配列

      76

      StreetTalk Directory Assistance Server

      streettalk_directory_assistance_server

      IPアドレスの配列

      85

      NDS Server

      nds_server

      IPアドレスの配列

      86

      NDS Tree Name

      nds_tree_name

      文字列

      87

      NDS Context

      nds_context

      文字列

4. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。

操作項目 操作コマンド

DHCPサーバー機能の設定(システム)

dhcp-server

DHCPサーバー機能の設定(インターフェース)

dhcp-server

DHCPサーバーの動作タイプの設定

server-type

DHCPプールの設定

dhcp pool

ネットワーク部の設定

network

割り当てるIPアドレスの範囲の設定(DHCP)

range

特定のクライアントに割り当てるIPアドレスの設定

bind host

リース時間の設定(DHCP)

lease

リースするIPアドレスの重複チェックの設定

probe

リースするIPアドレスの重複チェックのタイムアウト時間設定

probe timeout

通知するデフォルトゲートウェイアドレスの設定(DHCP)

default-router

通知するDNSサーバーの設定(DHCP)

dns-server

通知するドメイン名の設定(DHCP)

domain-name

ブートファイル名の設定

bootfile

ブートファイルが置かれているサーバーの設定

next-server

ユーザー定義のDHCPオプションの設定

option

DHCPクラスの設定

dhcp class

remote-id の設定

remote-id

circuit-id の設定

circuit-id

subscriber-id の設定

subscriber-id

DHCPプールクラスの設定

dhcp pool class

割り当てるIPアドレスの範囲の設定(DHCPプールクラス)

range

リース時間の設定(DHCPプールクラス)

lease

通知するデフォルトゲートウェイアドレスの設定(DHCPプールクラス)

default-router

通知するDNSサーバーの設定(DHCPプールクラス)

dns-server

通知するドメイン名の設定(DHCPプールクラス)

domain-name

DHCPプールの情報の表示

show dhcp pool

DHCPクライアントへのIPアドレス割り当て情報の表示

show dhcp binding

DHCPサーバーの状態の表示

show dhcp server

DHCPサーバーのリース情報の削除

clear dhcp-server lease

5. コマンド実行例

5.1. DHCPサーバー設定

vlan1でDHCPサーバーが動作するようにします。
DHCPクライアントは、VLANインターフェースと同じネットワークに存在しているものとします。
vlan1のIPアドレスは「192.168.100.240/24」とし、配布するアドレスの範囲は「192.168.100.2-192.168.100.191/24」とします。

■設定手順

  1. vlan1のIPアドレス「192.168.100.240/24」を設定します。

    Yamaha(config)# interface vlan1
    Yamaha(config-if)# ip address 192.168.100.240/24
  2. DHCPプール「pool_vlan1」を作成します。

    Yamaha(config)# dhcp pool pool_vlan1
    Yamaha(config-dhcp)#  (1)
    1 DHCPモードへ移行
  3. vlan1のネットワーク部「192.168.100.0/24」をDHCPプールに設定します。

    Yamaha(config-dhcp)# network 192.168.100.0/24
  4. 配布するアドレスの範囲「192.168.100.2-192.168.100.191」をDHCPプールに設定します。

    Yamaha(config-dhcp)# range 192.168.100.2 192.168.100.191
  5. DHCPのオプションで通知するデフォルトゲートウェイと、DNSサーバーをDHCPプールに設定します。

    Yamaha(config-dhcp)# default-router 192.168.100.240 (1)
    Yamaha(config-dhcp)# dns-server 192.168.100.1 (2)
    1 デフォルトゲートウェイのアドレスは、192.168.100.240(自分自身)
    2 DNSサーバーのアドレスは、192.168.100.1
  6. vlan1にて、DHCPサーバー機能を動作させます。

    Yamaha(config-dhcp)# exit (1)
    Yamaha(config)# interface vlan1 (2)
    Yamaha(config-if)# dhcp-server enable (3)
    1 DHCPモード終了
    2 インターフェースモード vlan1へ移行
    3 インターフェースのDHCPサーバー機能有効
  7. システム全体のDHCPサーバー機能を動作させます。

    Yamaha(config-dhcp)# exit (1)
    Yamaha(config)# dhcp-server enable (2)
    1 インターフェースモード終了
    2 システム全体のDHCPサーバー機能有効

5.2. DHCPサーバー Option 82 についての設定

DHCPクライアントは、VLANインターフェースと同じネットワークに存在しているものとします。
vlan1のIPアドレスは「192.168.100.240/24」とし、配布するアドレスの範囲は「192.168.100.2-192.168.100.191/24」とします。
受信したパケットの Option 82 の remote-id が、「Customer_A」の設定と一致した場合、「192.168.100.200-192.168.100.210/24」から配布するようにします。

■設定手順

  1. vlan1のIPアドレス「192.168.100.240/24」を設定します。

    Yamaha(config)# interface vlan1
    Yamaha(config-if)# ip address 192.168.100.240/24
  2. DHCPクラス「Customer_A」を作成します。

    Yamaha(config)# dhcp class Customer_A
    Yamaha(config-dhcp-class)#  (1)
    1 DHCPクラスモードへ移行
  3. 対象のDHCPクラスにremote-idを設定します。

    Yamaha(config-dhcp-class)#remote-id 00:06:ac:44:f2:00:00:01
  4. DHCPプール「pool1」を作成します。

    Yamaha(config)# dhcp pool pool1
    Yamaha(config-dhcp)#  (1)
    1 DHCPモードへ移行
  5. vlan1のネットワーク部「192.168.100.0/24」をDHCPプールに設定します。

    Yamaha(config-dhcp)# network 192.168.100.0/24
  6. 配布するアドレスの範囲「192.168.100.2-192.168.100.191」をDHCPプールに設定します。

    Yamaha(config-dhcp)# range 192.168.100.2 192.168.100.191
  7. DHCPプール「pool1」の中に、 dhcp class コマンドで設定したクラス「Customer_A」を適用します。

    Yamaha(config-dhcp)#dhcp pool class Customer_A
    Yamaha(config-dhcp-pool-class)#  (1)
    1 DHCPプールクラスモードへ移行
  8. 「Customer_A」に対して、割り当てるIPアドレスの範囲を設定します。

    Yamaha(config-dhcp-pool-class)#range 192.168.100.200 192.168.100.210
  9. 「Customer_A」に対して、DHCPのオプションで通知するデフォルトゲートウェイと、DNSサーバーをDHCPプールクラスに設定します。

    Yamaha(config-dhcp-pool-class)#default-router 192.168.100.220 (1)
    Yamaha(config-dhcp-pool-class)#dns-server 192.168.100.230 (2)
    1 デフォルトゲートウェイのアドレスは、192.168.100.220
    2 DNSサーバーのアドレスは、192.168.100.230
  10. vlan1にて、DHCPサーバー機能を動作させます。

    Yamaha(config-dhcp-pool-class)# exit (1)
    Yamaha(config-dhcp)# exit (2)
    Yamaha(config)# interface vlan1 (3)
    Yamaha(config-if)# dhcp-server enable (4)
    1 DHCPプールクラスモード終了
    2 DHCPモード終了
    3 インターフェースモード vlan1へ移行
    4 インターフェースのDHCPサーバー機能有効
  11. システム全体のDHCPサーバー機能を動作させます。

    Yamaha(config-dhcp)# exit (1)
    Yamaha(config)# dhcp-server enable (2)
    1 インターフェースモード終了
    2 システム全体のDHCPサーバー機能有効

6. 注意事項

  • AliasIPアドレス機能を使用したとき、セカンダリーIPアドレスのセグメントのアドレスは、DHCPで配布できません。